【番外編5/3UP】その王子、はらぺこ悪魔につき。

 *




学校の屋上まで、ひとっ飛び。


そう聞くと便利って感じがするけど、実際は恐怖体験。


それでもギュッとつむっていたまぶたを勇気を出して開いてみた。


すると、どうだろう。


わたしが暮らしている街は小さく


いつもと違う角度から、一望できて


……なんとも言えない気分になった。


空を飛ぶのが爽快に思えた。


あんな経験、セロに出逢わなければできなかったんだよね。


にしても――……


「少し、疲れたな」


そう言って日影に腰掛ける王子。


相変わらず彫刻みたいに綺麗な横顔。


「刹那」

「なに?」

「ひと休みしていこうか」
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