【番外編5/3UP】その王子、はらぺこ悪魔につき。
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学校の屋上まで、ひとっ飛び。
そう聞くと便利って感じがするけど、実際は恐怖体験。
それでもギュッとつむっていたまぶたを勇気を出して開いてみた。
すると、どうだろう。
わたしが暮らしている街は小さく
いつもと違う角度から、一望できて
……なんとも言えない気分になった。
空を飛ぶのが爽快に思えた。
あんな経験、セロに出逢わなければできなかったんだよね。
にしても――……
「少し、疲れたな」
そう言って日影に腰掛ける王子。
相変わらず彫刻みたいに綺麗な横顔。
「刹那」
「なに?」
「ひと休みしていこうか」