Keeper.ll
今、千歩と会話していた場所は運動場。
時間は5時間目に差し掛かるところ。
「リレーだってぇ。緊張するねぇー。」
そう、男子と女子に分かれての体育ではなく、ホームルームの時間を削って一部の人が頼み込んだ体育祭練習。
はぁ、よく頑張ることで。私は極力動きたくないよめんどくさいし。
「ほら、紫陽さん!並んで並んで!」
『分かった。申し訳ない。』
クラスの委員長的な人に注意をされた。
私は14番目に走る。千歩は結構後半の方で23番目、永富は1番だ。重役を仰せつかったー、とぶつくさ文句を言っていたのを覚えている。
『ふー、』
「緊張しますか?」
近くにいた子に話しかけられる。この人は誰だったか、緑色の髪の毛。ん?どこかでこの顔見た事あるぞ?
そんな私の視線に気がついたのか、相手は少しだけ笑った。
「俺、望って言います。」
望……緑頭……。
あっ、
『あれだ、準幹部の子だ。』
いやよく私思い出した。人の顔とか覚えるの超苦手なのに?これは自分を褒めたい案件だぞ天才か?私天才か?
「そうです、覚えて貰えてて光栄です。」
ふわり、と儚く笑った。
初めましてで戦ったからだろうか、あれ以来会うこともなかったし。結構中性的な美青年だったんだなぁ。どうしてもピンクのモヒカンに目が惹かれていたので忘れてしまったよ。