Keeper.ll



アキレス腱を伸ばす。なんかモゾモゾしたから。


『そういえば、苗字は?』


「苗字?」


きょとん、とした顔も可愛いなおい。下手すれば女の子より可愛いんじゃないか?口元の黒子がまた妖艶ですネ。ハハッ。


帯刀(たてわき)です。」

『オッケー、帯刀くん。これから仲良くしようね。』


にこり、と笑ったらなぜ苗字呼びかと聞かれた。そういえば十勝達も苗字呼びだな。

最初は絆されないように、壁を作りたかったからだけど今のメンバーが私は結構好きだ。

だけどただ、慣れてしまえば戻りづらくて。戻らなくても、Kのみんなとは別のところで友達を作ってしまったみたいで。それが嫌だったんだ。

「なぜ里香さんまで敬語なんですか」

『何となくだよ、帯刀くん。』



あ、そういえば忘れていた。自己紹介で。肝心なことを。


『時に帯刀氏。』

「なんです?その口調は。」


もう喋り方は気にしないことにした。


『最初に、私に緊張するかって聞いてきたよね?』


「え、ええ、そうスね。」

今走り始めたのは12番。つまり次に13番が走り出すのだから、偶数側でスタンバイするのは私14番である。


『答えは、否だよ。』



自信を表すようにニヤッと笑って、歩けばジャリッと音がする砂を踏んで、1番手前の白線の前に立つ。

どうやら私の前の子は走るのが苦手らしい。得意な人が少しでも長く距離を走ろう、と言う作戦だ。
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