異世界でお菓子を振舞ったら、王子と竜騎士とモフモフに懐かれました
「私もそう思います。これだけ悩んでいらっしゃるなら、打ち明けたほうがミレイさんの心が軽くなるんじゃないでしょうか」
ミレイさんと会話しているときのベイルさんの様子を見ていると、まんざらでもなさそうだし、告白が成功してそのままお付き合い……という可能性も大いにある。
「ただ……。私、ベイルさんと普通に会話するだけでも顔が赤くなってしまったり、なかなか言葉が出てこなかったりするんです。告白すると決めても、なにも言えずに終わってしまうのではないかと不安で……」
「ミレイさん……」
聞けば、恋をするのはミレイさんも初めてのことらしい。中流階級のお嬢さまの中でも、ミレイさんの両親は特にお堅いようで、男性と知り合う機会もあまりなかったと語ってくれた。
「時期が来れば両親が決めた方と結婚して、それでいいと思っていました。両親に逆らってでもなにかしたいと思ったのは、初めてのことで……」
「そこまで、ベイルさんのことを好いていらっしゃるんですね」
「はい。ですが、私にもっと勇気があれば……」
ミレイさんが言葉を切り、沈黙の時間が流れる。どうにかしてあげたいけれど、恋愛経験値ゼロの私からは気の利いた言葉すら出てこない。
頭の中でぐるぐると考えていると、アルトさんが飲んでいた紅茶のカップをかしゃりとソーサーに戻した。うつむいていたミレイさんが、顔をあげる。
「いや、お前はじゅうぶん勇気があると思うぞ。両親に与えられた価値観を自分で破ったんだろ? それは称賛に価することだと俺は思う。それがなかなかできないヤツもいるからな……」
最後の部分だけつぶやくように、アルトさんはミレイさんに力強い言葉をかけた。
「アルトさん」
思いがけず感動してしまう。ミレイさんも、ハッとした瞳でアルトさんを見ていた。
「ただ、あと少しの後押しがほしいというのなら、エリーの出番じゃないのか?」
「え、私ですか?」
「ないのか? こういうときに役に立つスイーツは」
そんなことを言われても。スイーツを万能の魔法かなにかだと勘違いしているのではないか、この王子は。
「う~ん、そうですね……」
そう思いながら、いちおう頭を働かせたときだった。
「……あ!」
あるではないか。この時期にぴったりで、女の子が勇気をもらうための、スイーツが主役のイベントが!
ミレイさんと会話しているときのベイルさんの様子を見ていると、まんざらでもなさそうだし、告白が成功してそのままお付き合い……という可能性も大いにある。
「ただ……。私、ベイルさんと普通に会話するだけでも顔が赤くなってしまったり、なかなか言葉が出てこなかったりするんです。告白すると決めても、なにも言えずに終わってしまうのではないかと不安で……」
「ミレイさん……」
聞けば、恋をするのはミレイさんも初めてのことらしい。中流階級のお嬢さまの中でも、ミレイさんの両親は特にお堅いようで、男性と知り合う機会もあまりなかったと語ってくれた。
「時期が来れば両親が決めた方と結婚して、それでいいと思っていました。両親に逆らってでもなにかしたいと思ったのは、初めてのことで……」
「そこまで、ベイルさんのことを好いていらっしゃるんですね」
「はい。ですが、私にもっと勇気があれば……」
ミレイさんが言葉を切り、沈黙の時間が流れる。どうにかしてあげたいけれど、恋愛経験値ゼロの私からは気の利いた言葉すら出てこない。
頭の中でぐるぐると考えていると、アルトさんが飲んでいた紅茶のカップをかしゃりとソーサーに戻した。うつむいていたミレイさんが、顔をあげる。
「いや、お前はじゅうぶん勇気があると思うぞ。両親に与えられた価値観を自分で破ったんだろ? それは称賛に価することだと俺は思う。それがなかなかできないヤツもいるからな……」
最後の部分だけつぶやくように、アルトさんはミレイさんに力強い言葉をかけた。
「アルトさん」
思いがけず感動してしまう。ミレイさんも、ハッとした瞳でアルトさんを見ていた。
「ただ、あと少しの後押しがほしいというのなら、エリーの出番じゃないのか?」
「え、私ですか?」
「ないのか? こういうときに役に立つスイーツは」
そんなことを言われても。スイーツを万能の魔法かなにかだと勘違いしているのではないか、この王子は。
「う~ん、そうですね……」
そう思いながら、いちおう頭を働かせたときだった。
「……あ!」
あるではないか。この時期にぴったりで、女の子が勇気をもらうための、スイーツが主役のイベントが!