女王様の言うとおり
《ヒナ:そうだよね……ねぇ、もしも向こう側の人間になれたら、楽だと思わない?》


ヒナからのそんなメッセージにあたしは目を見開いた。


ヒナは一体何を言っているんだろう?


あたしは自分の呼吸が荒くなっていくのを感じた。


なんだかすごく嫌な予感がする。


今日学校内で震えていたヒナを思い出す。


ヒナはもう限界なのかもしれない。


《心美:楽になんてなれるわけない。奏や大山君を見たでしょう?》


あの2人は体内に大量の蟻を飼っていた。


それなのに、それが誇らしいことのように喜んでいたのだ。


その結果、大山君はまだ退院できていない。


《ヒナ:そうだよね……遊星の体の中にも、沢山の蟻がいるんだよね》


そう言われると、返事ができなかった。


今学校に来られている生徒たちは、きっとまだマシな方なのだろう。


繁殖機として弱かったのか、大山君のように口や目から蟻が出入りするところは見ていない。


けれど、きっと蟻はいるはずだ。


少しずつ少しずつ、彼らの体内で増え続けていることだろう。


《心美:きっと大丈夫だから》


あたしはヒナに、そんな言葉しかかけることができなかったのだった。
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