Bitter Sweet
卒業式。


240名の生徒が校長から卒業証書を渡される。


泣いてる生徒もいれば、真っ直ぐな目をしている生徒、様々。


私も1-5のみんなを最後まで見ていたかった。


2年間どうやって成長していくんだろう。


勉強はちゃんとするかな、部活はサボらずにしっかりするかな、でもサボっちゃうこともあるからそういうのも高校生のうちだね。ここで出会った人たちを忘れないで人を大切にしてほしい。


ということを3月22日、最後のホームルームで言えるか今から不安。めっちゃ泣きそう。もう今から泣きそう。


卒業式が終わり、2年生が式場の片付けをしている間に1年生はホームルームをして、後は先輩と写真を撮ったりなど自由時間。


「みなさん、卒業式寒かったけど、お疲れ様、2年後はみんなが卒業証書を持つことになるから単位を落とさないでね、クラス替えはしちゃうけど、このメンバーで卒業できるように!明日から2週間は入試で学校立ち入り禁止です、なんかもって行きたいものがあれば今日必ず持っていくこと!これで連絡は終わります、それじゃさようなら」


みんなが教室を出て先輩達を待っている。


私は職員室に向かって、少し休もうかと思ったら、


「木崎先生」


「蓬莱くんどうしたの?」


「1年間ありがとうございました」


「ううん、こちらこそありがとう、ずっと1位だったね」


「たまたまです」


「これからも無理しないで頑張ってね、部活も勉強も」


「もちろん、てか、来年からは担任が木崎先生ではなくなるんですか?」



「それはまだ分からないよ、クラス替えもこれからなの」


「3年間同じがいいんですけど〜」


「それは分からないの」


絵梨花と尾川先生がうちら2人の側を通る。


完全に絵梨花は笑いを堪えていた。


いままでの会話聞かれたかも…でも普通の生徒と教師が話す内容だからいいよね……


2人はこの交際を知っているからまぁよかったけど、後でなんだかんだいろいろ言われるだろう。


絵梨花はともかく尾川先生も厳しい一面もあるけど、教師という肩書きを外せば完全にパリピ男。


絶対いじられる……


「蓬莱くん、バスケ部もう集まってるんじゃない?」


「あー本当だ、じゃまた俺の家で」


「チュッ」


蓮斗が視界から消えた瞬間に大きなため息1つ。


キスされたのになんだが寂しい、心に大きな穴が開いた感じがする。


寂しいけれどこういう判断もある。


2人が愛し合っているから絶対にくっつかなきゃいけないなんてない。


時と場合によって、愛していても相手のことを考えて別れた方がいい時もある。


私と蓮斗との恋は後者の方だろう。
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