Bitter Sweet
朝、7:00


お酒を飲まずに早く寝たから眠くないし、目がしっかり覚めている。


「6組みんなバス乗った?」


「乗りました!」


「3組は揃いましたか?」


「俺、確認してきます」


修学旅行、生徒は楽しめるけど、教師は生徒になにもないように常に気を張らないといけないし、結構疲れる。十坂先生は絵梨花と2人で旅行した方が楽しいと惚気ていた。それはそうかもしれないけど笑


教師としてこれも仕事だからしょうがない。


でも楽しもう!


「3組揃ったそうです」


「それじゃ、出発します、シートベールト締めてね」


学校から空港にバスで行き、そこから飛行機で沖縄に行く。


1日目は首里城と沖縄県の博物館と美術館(おきみゅー)に行く。


それで沖縄の歴史や文化、沖縄ゆかりの画家の絵を見て、論文1200文字を修学旅行終わったら提出なのだから涼宮先生から聞いた時はさすが進学校だと思った。


まだ空港に人は少なかった。全員いるか時々チェックしながら、飛行機に乗る。


沖縄までは飛行機で2時間ちょっと。


他のお客様もいるため静かにしている。


もう寝ている生徒もいれば、本を読んでいる生徒、お菓子を食べている生徒。様々だ、私はなにしようか。


本も持ってきてないし、窓の方に座ったから空でも見ようとするか。


今日は晴れて水色と白が綺麗に混ざっている空。


爽快な綺麗な空。


ぼーっと見ていたら2時間が経ったら、もう那覇空港に着いた。


荷物は一気にホテルに運んでもらい、リュック1つだけで体が軽くなった。


「じゃ、みんな行くよ〜」


3組と6組、計40名で各5人ずつで8班に分かれている。


ここからは班に分かれて、首里城に向かう。


8年前に行った時よりも綺麗になっているような…


「先生、一緒に行かない?」


2班の子が話しかけてきた。ここは全員6組の子達だ。全員吹奏楽部で仲良い5人組だと職員室でも話題になったことがある。


「萌沙(あずさ)ちゃん、いいの?」


「もちろん、みんなもいい?」


「「「「いいよ、一緒に行こ!」」」」


ということで2班のみんなと首里城周りすることになった。世界遺産の首里城跡や、いろんな史跡が見れて8年前、高2の時に行った時はつまんないと思っていたけど、今見ると、結構勉強になったり興味深く見入ってしまう。


「早くホテルに着かないかな〜?」


「沙耶(さや)ちゃん、そんなこと言うと論文書けないよ?」


「修学旅行なのにそれであんな酷な課題押し付けるなんてひどいよ、木崎先生」


「本当そうだよ〜」


「萌沙ちゃんも沙耶ちゃんも頭いいからすぐぱっと出来ちゃうよ!ほらなんかパーフォマンス始まるからここで見ようか、私は他の班を確認してくるからね」


「はーい」


他にも引率の先生がいるからなにもなく安心する。


パーフォマンスは既に始まっていた。人がたくさん集まっている。でも、よく見える場所を見つけてパーフォマンスを見る。



華やかな衣装を着ている6名の女性が琉球舞踊を踊っている。


とても綺麗で公演終了後は盛大な拍手が起こる。


8年前も見た覚えがあるけど、今見るとすっと心に入っていく感動。


その後、美術館と博物館に行く。


私は普段芸術には触れないため、本当に新鮮だ。嫌いな訳ではないから、一つ一つ、ちゃんと見て、繊細だけど大胆な芸術作品ばかりだ。一つ一つの作品に創作者の気持ちが入っていて、創作者がこの作品に込めた思いが読み取れる作品も有れば、分からない作品、分かるけど複数の思いがあって解釈を見てる私たちに任せる作品など、芸術作品はいろんな解釈ができるし、それで私たちの心を動かすことができる。たまに美術館に行くのもいいかも…


と感慨深くなっていたら、あっという間にホテルに行かなければいけない時間になりホテルに向かう。


博物館に行くの忘れてたけどいいっか。


と思いながら、ホテルに着いた。


「1班から4班は5階、5班から8班は6階、教師は7階の部屋にいます。なんかあれば、すぐに私達の部屋に来ないで電話番号渡したからそれに電話すること、分かりましたか?、荷物はもう各自の部屋に運ばれています、それじゃ夜ご飯まで各自自由時間です、集合は18:00ね!」


涼宮:「みなさんお疲れ様です」


十坂:「いや、戦いはこれからですよ」笑


木崎:「夜がなに起こるか分からないですからね」


石川:「でもまずは部屋に行って休みましょう」


私の部屋は7階の711号室。


部屋は1人にしては広すぎる。ベッドもシングルベッドが2つあるし、まぁこの部屋しか空いてないと言われてたからしょうがない。


あと1時間半もなにしようか迷っていたら、絵梨花から電話が来た。


「咲良、今日から沖縄旅行よね?」


「そうだけどどうした?」


「まさかホテル、シャーホールドサンホテル?」


「そうだよ」


「咲良には黙ってたんだけど、うちの高校も今日から修学旅行でホテルも咲良とおんなじなのよ」


「何ですって!!!!え、だから夏休みの時旅行先教えてくれなかったの?」


「そうなの、でも変な意味はなかったの!ただ偶然会ったら実は同じ日だった〜って驚かせるというかびっくりさせるだけだったんだけど、まさかホテルまで一緒だとはね…」


「いや、絵梨花はなにも悪くないからいいけど、」


「気になってるんだね、蓬莱くん」


「いや、そんな訳じゃ…」


「声聞いただけで嘘だと分かるよ、私に嘘は通用しないからね〜」


「絵梨花には負ける」


「蓬莱くんは、1人部屋よたまたまね。」


「そうなんだ」


「でも、班は剣道部やバスケ部で仲良いメンバーよ。クラス離れたから班は一緒になったの、私の部屋は1004号室だから、でも、来るときは前もってメールしてね、違う学校の教師だし、これも仕事だから」


「わかってる、私は711号室ね」


「それと絵梨花、これは私の予想なんだけど、蓬莱くんたぶんもう気づいたわよ、咲良がいること」


「なんで…」


「咲良がエレベーターに入る時ちょうど私のクラスがホテルのエントランスに入ったからもしかしたらって場合ね」


「そっか、蓬莱くんにはこのこと言わないでね」


「分かってる」


電話が切れて私は思わずベッドに深く座った。


そして心臓の鼓動が早く感じるのが分かった。


蓮斗に会ったら普通に接すればいいんだ。


前のクラスの担任として。
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