Bitter Sweet
部屋に戻って、大浴場があるけど、1人でお風呂に入りたい気分。


いつも使ってる入浴剤を入れて、半身浴。


レモンの爽やかな匂い。


ずっと入っていたいけど、そういうわけにもいかない。


先生から急に連絡が来るかもしれないし、それに蓮斗の件もある。


行くか行かないか迷う。


他校の生徒でも会っちゃいけない、まして部屋に入るなんてダメに決まってる。


だけど、どうしても話したいことってなんだろう。


気になる。


話聞くだけなら会いに行ってもいいのかな…


絵梨花に相談するわけにはいかない。


どうしようか考えていたら、脱衣所に置いた携帯が鳴っている。


すぐに浴室から出て、電話に出る。


「咲良?」


「なんだ、絵梨花か〜」


「なんだってなによ、咲良、ホテルの部屋周りとかある?」


「今日ないよ、明日ならあるけど」


「お!私と一緒ね!いまコンビニでお酒とおつまみとか買ってきたから少し飲まない?」


「いいけど、十坂先生はいいの?」


「流石に会わないよ、さっき電話はしたけど、付き合ってること咲良以外知らないんだからね!」


「そうだね、何時ごろ行けばいい?」


「22:00ごろはどう?」


「分かった、絵梨花の部屋に行くね」


今は21:00、あと1時間後か。


その前に蓮斗の部屋に行ってから絵梨花の部屋に行った方がいいよね。


体を洗って、部屋着で行きたいところだけど、蓮斗に会うから、仕事着着て行こう。


少し多めに服を持ってきてよかった。


他の生徒や先生方に見られないように、807号室に行く。



「トントントン」


「はぁい」


「来てくれたんだ、入って」


「う、うん…」


蓮斗も1人部屋なのだろうか、間取りは違うけど広さはほぼ同じ。


しかし、蓮斗の部屋にはベージュ色のソファーがある。


私の部屋には1人がけのイス2つと少し大きめのテーブルだった。


まぁ、細かい所は気にしないで、ソファーに座ればいいのか立ったままの方がいいのか迷った。


「蓬莱くん、話したいことってなに?私ずっとここにいるわけにはいかな…」「俺咲良のことずっと好きだから」


急にぶつけられた蓮斗の思い。


なんで…と思う反面なぜか嬉しい気持ちもある。


でも今私はどうしろうと……


私は蓮斗とは付き合えない。


手紙に書いた通り、蓮斗と付き合うとなぜか苦しいから。私と付き合うことが蓮斗にとっていいことだとは思わないから。


だから自分の本当の気持ちを分かってるのに押し潰してまで蓮斗と別れたのに…


なぜ私の気持ちを分かってくれないの…


蓮斗のためを思って考えた決断なのに…


「でも今付き合ってくださいとは言わない。俺が生徒じゃなくなった時に俺が木崎先生を迎えに行きます。その時に告白します。そうすれば木崎先生は苦しまない。だからそれまで待っててください。他の男を好きにならないで、俺も咲良だけだから。」


蓮斗は私の気持ちを理解した上で蓮斗なりの答えを出して私に蓮斗自身の思いをぶつけたんだ。


「…分かった」


「必ず会いに行きます。」


「分かった……」


「じゃ、他の先生に見られないように行ってください。わざわざありがとう…」


「う、うん、元気でね」


蓮斗は言いたいことだけを言ってそれで終わった。


蓮斗の部屋から出て絵梨花の部屋に行く。


「修学旅行って疲れるね〜、楽しい感じしない〜」


「そうかな、私は楽しいけど」


「生徒がなにも反則しなければいいけど、ゲームしたり逸れたりするとパニクるのよね」


「それは焦る」


「明日は修学旅行というより社会科見学みたいなものだし、明後日は自由行動で夜帰るから明後日は楽かな〜」


「そうなんだ、久しぶりの沖縄だしなんかしたいな〜」


「私の父方のお父さんが沖縄でガラス工芸品を営んでるんだけど」


「初めて聞いた」


「そうだっけ?笑、それで、1000円かな、それで自分のコップとか皿とか作れるか暇な時間有れば、行ってみて」


「分かった〜」


「航くんになにあげればいいかな?」


「お揃いの何か買ったら?」


「えー、子どもっぽくない?でもお互い同じ場所旅行に行ってるわけだし、沖縄の伝統のお土産じゃなくてもいいよね」


「そうだよ〜」


「じゃ、航くんには紅芋タルトとちんすこうと伝統的なお土産たくさん買ってきてもらおう〜」


絵梨花は恋愛を楽しんでいるみたい。


私は恋と愛がよく分からなくなっていた。
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