イケナイ王子様
ピチャン、ピチャン、という雨音が響く。


話しかける勇気はない。


この人と歩いてると、すれ違う人たちから、奇異の視線を向けられるし……。


それに、男性の横顔が怖いし。


迎えにきてくれたのが、兄弟のうちの誰かだったら、他愛のない会話で盛り上がれたかもしれないのに。


この人が悪いってわけじゃないんだけど。


話しかけづらい、重苦しい空気を感じる。


我慢できなくなって、顔をあげる。


勇気を振りしぼって、声をかけようとしたそのとき、男性がピタッと立ち止まった。
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