ノクターン

「いいじゃない、麻有ちゃん。この部屋。とても上品よ。」

部屋に入ると、お母様は 褒めてくれる。
 
「いいよ、若々しくて。ナチュラルで。智之と麻有ちゃんにぴったりだよ。」

お父様にも認めてもらえてほっとする。
 


「ありがとうございます。」

私は、みんなにコーヒーを淹れながら 頬を染めてしまう。
 

「足りない物とか、何か不自由があったら すぐに言いなさい。」

と、お父様は優しい。   
 


四人で話していても 私と智くんは、並んで腰かけたソファで 微笑み合ってしまう。
 


「智之も、そんな顔するんだ。」

お父様の言葉に、お母様は 明るく笑う。
 

「ちょっと、止めてよ。」

珍しく、智くんも顔を赤らめて。
 

「この部屋、熱いから 夕食に行きましょう。こっちが、ごちそう様なのにね。」

とお母様が言う。
 
「若い二人に、お肉でも たくさん食べさせてあげるか。」

とお父様も笑う。
 


「そんな。二食も続けてご馳走になってしまったら 申し訳ないです。」


私が慌てると、お父様とお母様は 声を立てて笑い
 

「ね、可愛いでしょう。」

と、智くんは言った。

 
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