ノクターン
22

松濤の家に車を置いたご両親を乗せて、智くんの車は 初台に向かう。

マンションには 余分に車を停めるスペースがないので、一台に乗り合せて。
 

「麻有ちゃんのご両親、本当に良い方で。温かな家庭で育ったから 麻有ちゃんはこんなに素直なのね。」

車の中で、お母様が言う。
 
「そんな事ないです。お父様とお母様に、こんなに可愛がって頂いて。だから私も、素直に甘えてしまって。本当に、ありがとうございます。」
 

「だって、麻有ちゃん、本当に可愛いんだもの。本当の娘みたいな気がするわ。」
 

「お母さん、男の子二人で いつも娘が欲しいって 言っていたからね。沙織ちゃんといい、麻有ちゃんといい、可愛い娘が二人もできて ウチは得したね。」

お父様も 穏やかに言ってくれる。
 

「本当。息子達が良い人と出会えて 恵まれているわ。」

松濤の家から初台までは、すぐに着いてしまう。
 

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