ノクターン
たくさんの荷物だったので、私達はそのままタクシーでマンションに戻った。
遅めの朝食を食べたきりの私達は まだ5時過ぎなのに空腹で。
マンションに荷物を置いて すぐに食事に出る。
二人で歩いて、マンション近くの 洋食屋さんに向かう。
そのお店は、初めてマンションを見に来た時に 食事をしたお店。
あまり広くはないけれど、アットホームな雰囲気と手作りハンバーグが美味しくて。
私達の、初台でのお気に入りになっていた。
料理を食べ始めて間もなく、智くんのスマホが鳴る。
「あ、おふくろだ。」
と智くんは、電話に出る。
お母様からの電話は、明日 お兄さん達が来るから 私達もどうかと言う事で。
「俺達も行くよ。ちょうど明日行くつもりだったから。年末、サイパンに行くから スーツケース持ってこようと思って。」
智くんが話す。
「うん、元気だよ。先週会ったばかりでしょう。」
と笑う。電話を終えた後で、
「麻有ちゃん元気、とか 寂しがっていない、とか。おふくろの恋人か、っていうの。」
と笑う。
「娘だからね。智くんにいじめられてないか、心配なんだよ。」
私が言うと
「こんなに可愛がっているのにねえ。」
と智くんは、熱い瞳で言った。