ノクターン

たくさんの荷物だったので、私達はそのままタクシーでマンションに戻った。

遅めの朝食を食べたきりの私達は まだ5時過ぎなのに空腹で。

マンションに荷物を置いて すぐに食事に出る。
 


二人で歩いて、マンション近くの 洋食屋さんに向かう。

そのお店は、初めてマンションを見に来た時に 食事をしたお店。


あまり広くはないけれど、アットホームな雰囲気と手作りハンバーグが美味しくて。

私達の、初台でのお気に入りになっていた。
 


料理を食べ始めて間もなく、智くんのスマホが鳴る。


「あ、おふくろだ。」

と智くんは、電話に出る。


お母様からの電話は、明日 お兄さん達が来るから 私達もどうかと言う事で。
 


「俺達も行くよ。ちょうど明日行くつもりだったから。年末、サイパンに行くから スーツケース持ってこようと思って。」

智くんが話す。
 
「うん、元気だよ。先週会ったばかりでしょう。」


と笑う。電話を終えた後で、
 

「麻有ちゃん元気、とか 寂しがっていない、とか。おふくろの恋人か、っていうの。」

と笑う。
 

「娘だからね。智くんにいじめられてないか、心配なんだよ。」

私が言うと
 


「こんなに可愛がっているのにねえ。」

と智くんは、熱い瞳で言った。


< 141 / 270 >

この作品をシェア

pagetop