ノクターン

「いつも銀座だから たまには表参道に行こうか。」

と、智くんは言う。


私達は 原宿駅で電車を降りて歩く。


12月なのに、風も無く日差しが暖かい。

クリスマスムードの原宿は、銀座とは違う人の多さで。
 

「さすが原宿。すごい人だね。」

智くんの腕につかまり、人波を泳ぐ。



やっと少し、人が減ったのは、青山通りを超えた辺りで。
 

「エネルギー感じるね。」

と私が言うと、智くんは 心地よい声で笑った。
 


私達は、表参道ヒルズに入る。

中は、やっぱり混み合っていたけれど。

さっきの人に比べれば 気になる程でもなく。

ショップを覗きながら ゆっくり歩いていく。
 


智くんは、高級ブランドのショップで足を止める。

そこで数点の洋服を買ってくれた。
 
「ありがとう。こんなに。嬉しいな。」

大きなショップバッグを 受け取った後で私が言う。


智くんは私から荷物を取る。
 
 
「何か、プリティーウーマンみたい。」

私が言うと、智くんは 愛おし気な笑顔で 私の髪を撫でてくれた。
 

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