ノクターン

夕食までには 時間があるので

私達は 横浜をブラブラする。



元町、中華街、赤レンガ倉庫。


クリスマスの山下公園は、恋人達がいっぱいで。


抱き合う恋人達に刺激されて、私達も海を見ながら キスをしてしまう。
 

「こんな所で。俺、どうしたんだろう。」

恥ずかしそうに笑う智くんに
 

「私も。でも、今すごくキスしたかった。」

と素直に言ってしまう。
 


日が沈んで イルミネーションが輝き始める頃、私達はレストランに入る。

コートを脱いで、白い服になった私を やっぱり智くんは 愛おし気に見つめる。
 


「あの日、ここで智くんが 告白してくれなかったら 今の二人はいなかったね。」


「麻有ちゃんが、俺の気持ちに 応えてくれたからね。」



私達の心は、温かいもので満ちてくる。
 


「不思議だね。あの日 智くんが会社に来なかったらって考えると 怖くなるの。」
 
「あそこで、麻有ちゃんに会えなかったら どうなっていたかな。」
 

< 169 / 270 >

この作品をシェア

pagetop