ノクターン
46

土曜日、軽井沢から来る両親の為に 私は朝から料理をした。


智くんは すっかり有能な助手になっていて 私を手伝ってくれる。
 

炊込みご飯に お吸い物。

ヒレカツには 千切りキャベツをたっぷり添えて。

金目鯛の煮つけ。サラダ。

昼食にしては上出来。
 

「麻有ちゃん、料理の腕上げたね。」

全部 味見をした智くんが言う。
 

「本当?奥様、合格?」

私は 甘く見つめて言う。
 
「もちろん。主任に昇進だよ。」

智くんも 楽しそうに笑う。
 
「うれしい。智くんと一緒だ。」

と智くんに抱きつく。

智くんは 愛おし気に抱きしめてくれる。
 

そして「部下が優秀だからね。」と笑う。
 
「智くんが部下?」私も笑う。
 


準備が だいたい整った頃、

『今、新宿から京王線に乗ったよ』

と妹から電話が入る。




私達は、駅まで迎えに行く。
 

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