ノクターン

「智くん、ありがとう。」

駅まで 手を繋いで歩きながら 私が言うと
 

「麻有ちゃんだって。いつも俺の親父達 大事にしてくれるでしょう。」

と智くんも言う。


だいぶ暖かくなった街は どこからか 花の香りがして。
 

「春っぽいね。」と私の言葉に
 
「俺達と同じだね。」と智くんも笑う。



 
私達が 改札口に着くとすぐに 軽井沢の家族が出てくる。
 


「美奈ちゃんの案内が適当で。大宮駅ですごく歩いたのよ。」

母が 私に言いつける。
 

「まあまあ。運動不足解消だよ。」



妹はケラケラ笑い みんなで歩きだす。
 

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