ノクターン
「このまま仕上げて頂いて、大丈夫じゃない?手直しする所、無いでしょう。」
お母様が言ってくれる。
担当の人が、細かくサイズをチェックしてくれる。
「サイズもぴったりですね。ベールを合わせてみますね。」と私にベールを掛ける。
ロングトレーンに重なる 長いベール。
一層、花嫁らしくなる私。
「完璧だね。」お兄様が言う。
みんな、胸が詰まって 無口になっていて。
「せっかくなので、新郎様もご試着を。」
と担当の人の言葉に 私は頷く。
「そうね。二人のバランスも 大事だもの。」
とお母様に急き立てられて、智くんは立ち上がる。
私よりも 手早く着替えた智くんが カーテンから出てくる。