ノクターン

「お母様。あの、恥ずかしいんですけど。私もあの写真欲しいです。」

私は、リビングに飾ってある、例の写真を指して言う。
 

「本当?実は もう一枚あるの。」


お母様はすぐに 奥から写真を持って来てくれる。
 

「何枚、プリントしたんだよ。」

とお兄様に笑われて。
 
「ちょっとね。投稿しようかと思って。」
 
「えー。モデルに無断で。」

智くんが笑う。
 


「お父さんに止められたから やめたわ。」

私達は みんなで笑ってしまう。
 

「でも、賞とか取れたら ちょっと嬉しいかも。」

私が言うと お姉様も頷いて
 
「うん。本当に素敵だもの。」と言う。
 


「止めてよ。沙織ちゃんも麻有ちゃんも。お母さん、本気で投稿するよ。」

とお父様が言う。
 
「男って、照れ屋だから。正直じゃないのよ。」

と言うお母様に またみんなで笑う。
 


その後も 結婚式の話しで盛り上がり 楽しい時間は続く。

披露宴の席次の事や 挨拶をお願いする人の事など 決める事はたくさんあり。
 

「ちょっと、そこの二人。写真見ている場合じゃないでしょう。」


さっきの写真を見ていた智くんと私は お母様に声を掛けられて。
 

「ごめん、ごめん。何回見ても 良い写真だなって思ってさ。」


智くんが言うと また大笑いになる。



温かくて、楽しくて。




私は、この家族と過ごす時間が 大好きだ。

 
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