ノクターン

智くんの言葉は、そっくり私の言葉で。

私達は、まるで合せ鏡のようで。



私に智くんへの愛がある限り、智くんの愛も信じられる。

この先、どんな困難があっても 私は乗り越えられる。



智くんがいる限り。
 


「ありがとう。智くん。嬉し過ぎて、幸せ過ぎて、夢かもって思うくらい。」

私の心も、少しずつ落ち着いていく。
 



「そうだ、麻有ちゃん。今度の週末 ウチに来て両親に会って。彼女できたでしょうって おふくろに言われていて。ウチに連れていらっしゃいって言っていたから。」
 

「えー、そんな急に。」

驚きで私の涙は すっかり止まっていた。
 

「いずれ会う訳だし。その後で、軽井沢のご両親に 挨拶に行くからね。善は急げ、だよ。」
 

「智くん、せっかち。」

私は智くんを責める目で見る。

智くんは、優しく私の髪を撫でながら、
 

「麻有ちゃんと、早く一緒になりたいし。麻有ちゃんの不安も、早く取り除いてあげたいからね。」


智くんの思いやりに また涙が出てくる。
 
 
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