ノクターン
外観からの予想通り、部屋の中も余裕のある贅沢な間取りだった。
広々とした南向きのリビング。
大きなクローゼットのある寝室。
子供部屋用に洋室2つ。
最上階ならではの広いルーフバルコニー。
「すごい、素敵!広いし。こんな素敵な部屋に住めるなんて 夢みたい。」
「麻有ちゃん、ここで大丈夫?」
喜ぶ私の肩を抱きながら 智くんが聞く。
「もちろん。智くんは?」
「俺も、いいと思う。麻有ちゃんと一緒ならね、どこでも楽しく暮らせるけどね。駐車場が付いているから車も持ってこられるよ。」
「今より大きなベッド置けるね。」寝室を見ながら私が言う。
「ベッド広くても、くっついて寝るよ。」私の肩を抱く腕に 甘い力が加わる。
「麻有ちゃん、どこか 気になるところある?」部屋を見回しながら 智くんは言う。
「えー、このままで大丈夫じゃない?智くんが気にならなければ。私は、このままでいいと思う。」
床も壁も、傷んだ所はない。
キッチンやバスルームも古くなっているとも思えない。
「早く家具揃えて、引越ししようね。」
智くんは 私の髪を撫でながらキスをした。