ノクターン
15

翌日、私達は少し寝坊して ショッピングモールを歩いただけで 東京へ帰る。

智くんは、そこで私に 新しいコートを買ってくれた。

衿にファーの付いた、クリーム色のウールコートは 幸せな私をより明るく甘やかに見せた。
 


午後、松濤の家に着いて 智くんのご両親に昨日の報告をする。

私の両親も、智くんとの結婚に もちろん異存がないことを。
 


「安心したわ。これで、具体的にお話しを進められるわね。これから 色々、忙しいわよ。」

お母様は、温かく言ってくれる。
 

「まず、一緒に住んで いい日に入籍して 結婚式はそれからゆっくりでいいよ。」

智くんは、私達の希望を言う。
 

「そんな事言っていると、結婚式 三人になっちゃうだろう。」

お父様に冷やかされ。
 
「やめてよ。」

と智くんは照れて、私を見つめる。

少し頬を染めて俯く私も きっと幸せいっぱいの顔をしていたと思う。
 

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