ノクターン
16

翌日、私達は お父様に紹介されたインテリアコーディネーターに会う。

マンションの家具を準備するために。

プロに選んでもらって家具を選ぶことに 私は驚いていた。
 


女性のコーディネーターは、深見さんといって ハキハキした感じの良い人だった。

ニットのアンサンブルにチェックのスカートという平凡な服装なのに、色使いや着こなしが洗練されていて デザイナーらしいセンスが窺えた。
 

「お父様からは、家具と一緒に家電や生活用品の準備も ご依頼されていますが、何か御希望はありますか。例えば、家電のメーカーとか、食器のブランドとか。」
 
「麻有ちゃん、何かある?」

智くんが聞いてくれる。
 
「ううん。お任せして大丈夫です。」

私はびっくりしていた。
 


「では、お好みに合う物で 早めに揃うように調整致しますね。」

深見さんは、爽やかな笑顔で言う。

そして 翌日、初台のマンションの前で落ち合う約束をして 私達は深見さんと別れた。
 

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