屋上海月 〜オクジョウクラゲ〜
ゆっくりと
あずるの背を滑って行く
ミズタニの指
「 ――― ああ…いい子だ、ルウ
もう散々ヤられてるんだろ?
俺、拳銃構えたり忙しいからさ
お前、自分から 上に乗れよ 」
「 ――― 遥人お…っ!!!」
「 五月蝿いよ灰谷遠矢
そんなに大声出さなくても聞こえてる 」
「 …佐伯を
――― 佐伯リツコを殺したのは
お前なんだろ?! 」
「 ―――… 何だ?突然 」
「 …っ!!」
「 まさか…誰が触るんだよ
あんな気持ち悪いモノ…
あまりふざけた事言ってると…
こうやって頭に腰降ろしたまま
地面に顔、擦り付けてやろうか?
――― ルウ…
随分、キスが上手になったね
… 横でガシャガシャ
うるせーよ梅川あ
あんまり暴れると、首に繩が食い込んで
そっちで先に死んじまうぞー 」
「 … アズに触るのはやめろ!!!」
「 え?
俺からした訳じゃねえじゃん?
――― ルウ、気持ちは判るけど
いい加減ちゃんと座って、膝に乗れよ
ずっと膝突いてると痛くなるぞ 」
「 遥人…っ!!!
――…"死ね"って…
この部屋に忍び込んで
シーツやチラシに書いたのは
嫌がらせしてたのはお前なんだろ?!」
「 は…?
知らないよそんなの…
――― 俺は陰口は大キライなんだ
… 特に青山
こいつには面と向かって
直接言いたいね ―――
しかもさあ…俺は人間だよ?
このボロマンション…
監視カメラに盗聴マイク
どれにも捕まらず入るなんて不可能だ
ねえねえ?どうやって入るの?
隣のビルから飛んで?!
それとも壁でも擦…――― 」
ミズタニの動きが
突然 止まった