屋上海月 〜オクジョウクラゲ〜






金網を背に
崩れ落ちる白衣


後についていく
重い鉄の擦れる音




「 へい…き…!
早くせんせーを降ろしてあげて…!」




倒れた水谷の体の下から
身を引き抜こうともがくあずるに
走り寄って、抱き起こした




――― 首にしがみついて来た震える腕


漂うのは、強いアルコールと 甘い香り




「 う…
ウィスキーボンボン食べさせたの!
ハルト、お酒に弱いから
当分動けな ――― 」


「 ―――…なーんてね! 」






それは 一瞬


勢いよく口から菓子を吐き出して
伏せた状態から起き上がったミズタニは


柔らかく 微笑みながら


あずるに真っ直ぐ 狙いを定めた ―――








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