屋上海月 〜オクジョウクラゲ〜
「 ――― もういいだろ
チャカなんか降ろせ、水谷君 」
低く通る、しわがれた声
顔をあげた、その目の前で
ひらりと 背広の袖が揺れる
「 こんなもん…
一体、何処で手に入れた?
裏に出回るような
シロモンじゃ無えだろ 」
「 …遅いよ、御老体 」
いともあっさりと
その手に、拳銃を渡したミズタニは
再びフラフラと、その場から立ち上がり
それでも距離を取って
屋上の 最奥へと向かう
そして壁を背に、腰を降ろして
何故か、本当に幸福そうに
一度だけ笑った
「 手間あ、かけさせたな
――― 梅川はこっちで引き取る
オイお前ら、紐 外してやれ 」
「 竹田さ…?」
「 よお、青ちゃん
この様子だと水谷君から
まだ話は聞いてねえみたいだな 」
「 そー…
ここの鍵はねえ…
彼に、借りたんだよ 」