綺麗事


この人は一体なにがしたいのか全く理解で


きない。


そもそも、理解したくもない。


無視してそのままもう一度机に突っ伏そう


としたら止められた。


「はい、駄目だよ~。君は今から屋上に行


くんだよ。ほら、立って。」


そう促されるが。


「嫌ですよ。誰がそんな面倒くさい。」


また思わず本音が出てしまった。



この人と喋っていると変に心の声が漏れや


すい気がする。危険人物だ。


「早く行こう。総長が待ってるんだ。」


ほら嫌なことじゃん、と思わす心のなかで


突っ込む。


「はいそんな嫌そうな顔しないで行くよ」


そう言った影宮 葉月は細身の体のどこに


そんな力があるのかヒョイッと理苑を担ぎ


上げて教室を出た。


「えっ、ちょっと!なんなんですか!」


慌てて手足をバタバタさせる理苑に。


「大人しくしないと落ちるよ。それとも


落とされたい?」



なんて怖いことを笑顔で言ってくる。


思わず頬がひきつった。



< 14 / 40 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop