【女の事件】遺恨の婚礼歌
第2話
11月24日の朝のことであった。

ところ変わって、織田ヶ浜の近くにあるひろつぐの家にて…

朝の食卓には、ひろつぐとひろみちとひろみちの妻がいた。

テーブルの上には、ツナサンドとコンソメスープとグリーンサラダと目玉焼きが置かれていた。

しかし、ひろつぐが食べる目玉焼きがなかった。

ひろつぐは、ひろみちの妻に目玉焼きがないと言って怒っていた。

ひろみちの妻は目玉焼きを作るのを忘れていたことに気がついて、急いで作ろうとしていたが、そこでこじれてしまった。

「ごめんなさい…義兄さんの目玉焼きを作っていなかった…今から作ります…」
「いらねーよ!!」
「どうしてなのですか…目玉焼きはすぐにできますから…先に食べてください…」
「やかましい!!目玉焼きいらないと言ったらいらない!!」
「すぐにできます…」
「作るなと言ったら作るな!!何やオドレは一体!!ひろみちにだけに目玉焼きを作って、オレの分は作らんのか!!ぶっ殺してやる!!」

ひろつぐは、ひろみちの妻が作った朝ごはんを床に叩きつけて、足でつぶした。

その後、ひろつぐは手提げカバンを持って出勤しようとしていた。

「義兄さま!!今目玉焼きを焼いているところですよ…」
「やめろよ!!」
「あなた!!」

ひろみちは妻にこう言うた。

「おい、お前なぁ…兄さんをからかうなよ…兄さんをからかうなと言うのが!聞こえないのか!!」
「からかっていないわよぉ…」
「お前なぁ…忙しい忙しいとばかり言うているけど、なまけているのか!?」
「なまけてないわよ…アタシだって、マクドのバイトと家のことで頭がいっぱいになっているのよ…」
「テイシュに口答えするな!!」

そんな時であった。

ちえみがボロボロに傷ついた姿で家に帰宅した。

それを見たひろみちの妻がビックリした。

髪の毛がグチャグチャになっている上に、衣服が泥まみれで、ブラウスがビリビリに破れて、ブラジャーをちぎられて、右足にショーツが引っかかって、ストッキングがズタズタに破れていた。

ひろみちの妻は、ちえみに一体何があったのかを聞いてみた。

「義姉(おねえ)さま!!一体、何があったのですか!?」
「何でもないわよ…」
「何でもないわよじゃないですよ!!衣服が泥まみれになって、ズタズタに切り裂かれていると言うことは、レイプの被害を受けた…」
「やかましいわね!!いちいち細かいことを聞いて来ないで!!」

思い切り怒ったちえみは、ドカドカと足音を立てて部屋に入った後、力を込めて戸を思い切り閉めて、部屋にとじ込もった。

この時、ちえみは知らないところで男たちからレイプの被害を受けていたが、本人はヘーゼンとしていたようだ。

非常に危険だ…

11月27日のことであった。

この日の午後、キューデン本社の庭園にて社内恋愛を実らせて結婚をしたカップルさんの婚礼の事前撮りがあった。

この時、ひろつぐの部署で働いている男性スタッフさんもロケに行く予定だった。

ひろつぐは、ロケに行こうとして男性スタッフさんに両手を広げて止めてイカクした。

「待てコラ!!」
「課長…」
「こんな時間にどこへ行くのだ!?」
「どこへ行くって…今日は婚礼の事前撮りのロケ…」
「誰の許可を得ているのだ!?」
「誰の許可を得ているのだって…会社の…」
「やかましい!!オレの許可なく持ち場を離れるな!!ここは職場なんだぞ!!職場で婚礼の事前撮りだと!!」
「課長!!わが社は社内恋愛推進…」
「だまれ!!社内恋愛推進会社でも、勤務時間中は与えられた仕事をしろ!!オレの言うことが聞こえないのか!!ナマケモノ!!虫ケラ!!イチャつき魔!!」

男性スタッフさんをイカクしたひろつぐは、ファイルをたくさん出して『今日じゅうに全部仕上とけ!!』と言うて、こめかみをグーで殴った。

ひろつぐが、暴力で男性スタッフさんの婚礼の事前撮りを阻止したを聞いた深江さんは、ひどくおたついた表情でひろつぐの家に行って、事の次第を聞いていた。

家には、ひろみちの妻がいたのでひろみちの妻がちえみに代わって応対していた。

「義兄さまが…婚礼の事前撮りを暴力で阻止したって…」
「ああ、本当なのだよ…うちの会社が社内恋愛推進会社だと言うことが分かっているのに…ひろつぐさんが部下の男性スタッフさんに強烈な暴力をふるったので…婚礼の事前撮りは中止になったのだよ…S内さん、今日の事前撮りを楽しみにしていたのに、ひろつぐさんが暴力で阻止したから、本人はイシュクしたのだよ…写真館のスタッフさんにもメイワクをかけたので…会社が困っているのだよ…」
「深江さん…義兄はショッケンをやめたいと思っているかもしれません。」
「そうだな…過去にも、社内恋愛のカップルさんに強烈な暴力を加えていたことがあった…カップルさんを別れさせろと言うて来たことがなんべんもあったのだよ…」
「別れさせろって…社内恋愛のカップルさんを別れさせろと本当に言うたのですか?」
「ああ、本当に本当だ…やっぱり、ひろつぐさんをショッケンに中途採用で入れたのは間違いだったよ…社内恋愛推進会社で結婚相手の女性がみつかると思って入れたのが間違いだったよ。」

そんな時であった。

ものすごく派手な服装をしているちえみが家に帰って来た。

ちえみは、茶髪でラメラメのファッションでへそ出しミニスカでハンドバッグもラメラメのかざりがついて、ネイルも派手な色をつけていた。

耳たぶにつけているイヤリングとへそにつけているピアスもより強烈な赤色である。

そんなちえみを見た深江さんは、びっくりした。

「ああ、ちえみさん…ちえみさん!!あんたに話をしようと思っていたのだよ!!待ちなさい!!」
「話ぃ…アタシ眠い…」
「眠いのはわかるけど、ひろつぐさんのことで大事な話があるのだよ!!」
「うるさいわねクソバカじじい!!またにしてくれるかしらもぉ!!」
「そうはいかないよ!!またひろつぐさんが社内恋愛のカップルさんに強烈な暴力を加えていたのだよ!!」
「…るさいわねもう…そんなのいつものことでしょ…」
「ちえみさん!!」
「やかましいわね!!帰ってよ!!」
「ちえみさん!!」
「やかましいわねあんたは!!ひろつぐにお嫁さんなんて猫に小判だというているでしょ!!必要ないものを必要だと言うから、話がややこしくなるのよ!!アタシはソートーイラついているから帰んなさいよ!!」
「帰れだと…」
「やかましいわね!!ひろつぐにお嫁さんが来ない元凶はあんたでしょ!!あんたが製造工場の従業員が社内恋愛にうつつをぬかしたら納期が遅れると言うて、工場の従業員さんたちの不満が高めといてなにいよんかしらねぇ…バカ工場長!!」
「なんだと!!バカとはなんだバカとは!!」
「悪かったわね!!アタシもよーがまんできん性格だから、ダンナ棄てて、ここへ出戻ったのよ…アタシもダンナ棄てて出戻ったバカなのよ!!…もういいでしょ…帰んなさいよ!!」

深江さんに思い切り怒鳴りつけたちえみは、深江さんを追い返した。

このあと、ちえみはさらにダラクの一途をたどって行くのであった。
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