『先生の色』〜桜の下で始まった恋は、色を変える〜

急に強風が吹いて

桜が宙を舞った



私は髪を押さえた



青空に向かって咲く桜より

夜空の下で舞う桜が
綺麗だと思った



私の知らない桜の姿

私の知らない桜の色



あの時
先生と見た
天気雨の中の桜も綺麗だった




青空の下に咲く桜しか
知らなかった



私の唇に桜の花弁がついた


先生が取ってくれた



目が合って

ドキドキした…



知らなかった

こんな気持ち



知らなかった

自分の気持ち



私が知らない桜を
先生が教えてくれた


私が知らない風景を
先生が教えてくれた


私が知らない気持ちを
先生が教えてくれた



終わっちゃう…



今年の桜も…



先生との思い出も…



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