戀のウタ
 一方的に自分の意見を述べる氷川に千鶴さんが制止をかけたが氷川はそのまま踵を返しブースを出てラボからも出て行った。
 千鶴さんはその背中を無言で見送って小さく溜息を吐く。

 隠し立てしても仕方ないという諦めの混じった表情だった。


「兵器…っていうのは彼の言い分だけど格闘・武装等はプランに組み込まれているの。当初は災害・レスキュー目的だけだったんだけどそれだけじゃなかなか予算が組んでもらえなくて…。私達の研究成果がなかなか上がらないのもあって解析開発を続ける上でどうしても名目上とはいえ軍事転用も、ね。恭介君の気持ちを考えたら本当に申し訳ないわ」


 千鶴さんは申し訳なさそうにそう言うと頭を下げた。

 確かに今の自衛隊だって戦争はしないけど武器は持っている。
 海外派遣の時は自衛隊としての在り方について毎度揉めてるぐらいだ。

 災害やレスキューとなれば自衛の為にも少なからずそういう『装備』をしないといけないのかもしれない。

 納得はいかないけど。


「氷川さんは元々陸自から政府勅命でこっちに出向してて。元々明治時代からずっと軍人家系らしいから命令とはいえ俺みたいに鈍くさいの相手にすんのイラっとするみたいだから」

「なんでそんな自衛隊の人が?」

「軍事転用の件があるから。俺の格闘実技の担当主任なんだ」
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