眠り姫は王子に愛される





「1人で着れそう?」

「もう!子供扱いしないで」

「ん、じゃあ下で待ってるね」



ちゅ、と流れるように瞼とつむじに1つずつキスを落とされる。


恥ずかしさで顔が熱を持つことを自覚しながら、志緒の背中をぐいぐい押して部屋から追い出す。細身だが背が高くて筋肉もしっかりついているのか、押してもビクともしない彼に何とか部屋から出てもらって一息。



「ふぅ…」



キスを落とされたところが熱くて、感覚が消えない。


もしかすると、さっき私が抱き着いたところも夢じゃないのかもしれない。


あれ、そうなると…



志緒とキスをしたかもしれない ───?



ぼんやりと残る柔らかい感触は初めてのもので。もしあれが現実だとすれば、あっさりファーストキスを奪われたことに。



「えぇ…っ」



ファーストキスは好きな人と、というのはしたことのない人間からすれば、誰でも夢見ること。


なのに、意識が曖昧なうちに初対面の男の子に。


いやいや、まだ可能性の段階だし!志緒だってきっと、初対面の女の子にいきなりキスをするような人では……って、キスはされたけれども!それはノーカンで!




< 7 / 159 >

この作品をシェア

pagetop