からふる。~第14話~
その夜。


隣の部屋から聞こえてくるいびきがすごくて眠れなかった。


仕方なく1階に降りていくと0時を回ったというのに食堂から灯りが漏れていた。


誰だろうと恐る恐る中を覗くと、八代先輩が勉強中だった。



「八代先輩」


「あっ、朱鷺田さん。起きてたんだ」


「本当は寝たいんですけどお隣がうるさくて...」


「黒羽くん毎日頑張ってるからなあ」


「毎日ってどういう...」


「応援団の危機を救うとかなんとか言って体作りも発声練習もやってる。黒羽くんが青波くんに頼み込んで一緒に筋トレしてるんだ。ボクはたまたま帰りに2人に会っちゃって巻き込まれた。ボクは見てるだけでいいって言ったのに...」



黒羽くん負けず嫌いなんだな。


2人に負けたくないからやってるんだろうけど、私に宣言しなきゃ意味ないのに。


評価してあげられないじゃん。


ずっと黙ってるつもりだったのかな?



「茶樹も紗彩もまだ起きてたの?」


「あっ、青波先輩」


「青波くんも眠れない?」


「いや、喉乾いたから麦茶飲みにきただけ。あ、もしかして玲央の話?」


「そう。黒羽くんが頑張ってるってことを朱鷺田さんに報告してたんだ」



私は疑問を口にした。



「あの、黒羽くんはいつから練習を?」



青波先輩は麦茶を並々に注いでからがごくごくとコップ半分まで飲んだ。



「5日前くらいかな?応援団を救うために鍛えたい。だからトレーニング方法を教えてくれって頼まれた。そういえば凜も紫雄と鍛え始めたみたいだし、あっそういうことかって合点がいった。玲央は紗彩に認められたくてやってるんだよ」


「私...ですか?」



青波先輩が深く頷く。


八代先輩もこくこくと首を縦に振った。



「紗彩は玲央にとってどんな存在か俺には良く分からない。だけど不器用ななりに紗彩を想ってるのは分かる」


「黒羽くんもなかなかの人だよ。大手IT企業の社長令嬢のカノジョいるのに朱鷺田さんまで狙ってるなんてね」


「しゃ、社長令嬢?!」


「そう。お嬢様のカノジョがいるのになんで元お嬢様の紗彩にかまうのか俺も理解不能だ。ま、紗彩は可愛いから目移りするのも無理ないけどね」



いやいやいや。


元より現お嬢様の方が100倍いいに決まってる。



「とにかくなぜか紗彩を気に入って紗彩に自分を見てもらいたくてしょーがない玲央は今応援団救済に奔走してるってこと。じゃ、俺は寝るよ」




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