授かったら、エリート弁護士の愛が深まりました
紗季さんは遠回しに黒川さんと婚約するなんて分不相応だって私に言いたいんだ。
彼女の言葉尻でそう悟る。

「あなた、彼のことなにも知らなかったのね。婚約するなら慧介はちゃんと自分のこと話すと思うわ。本当に愛してるならなおさらよ」

それはとどめと言わんばかりの痛恨の一撃だった。

私、全然黒川さんのことわかってなかった……。

そう、だよね……婚約者なら、ちゃんと話してくれるはず。なのに……。

そのとき。

「南雲君、そこまでにしといてあげなさい」

振り向くと、瞳が潤んでぼやけた視界の先に、いつの間に帰って来たのか坂田所長がドアの前に立っていた。

このままここにいたらだめだ。

「すみません、失礼します!」

今にも嗚咽がこぼれてしまいそうな口元に手の甲をあてがいながら、私は勢いよく事務所を飛び出した。
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