授かったら、エリート弁護士の愛が深まりました
でも、私がそんなふうに言ったら……紗季さん、また黒川さんから怒られちゃうよね?
酷い言葉を浴びせられた相手だというのに、どうして庇うようなことをするのか自分にもわからなかった。彼と紗季さんは一緒の事務所で仕事をする仲間だ。
私のせいで険悪な雰囲気になって欲しくない……。
言葉を濁していると、それを察した黒川さんが呆れたように長いため息をついた。
「ちょっと待ってろ」
握っていた手を離し、黒川さんが部屋から出て行くと手に小さなアルバムを持って戻ってきた。
「これを見て見ろ。中央に写ってるのが真由だ」
手渡されたアルバムを開いて指を差された女性に視線を落とす。
この人が、真由さん……?
旅行に行った時の写真のようで、青い海を背後にカメラ目線で白い帽子を被って笑っている。自然な明るい茶色の長い髪が風に靡いて、そのときの楽し気な雰囲気が写真を通して伝わってきた。元々身体が弱いせいもあってか肌は色白で、身体の線も細い。美人で聡明そうな顔は……私とちっとも似ても似つかなかった。
「真由さん、綺麗な人だったんですね……私とは全然似てません」
「その写真を撮った一ヵ月後に亡くなったんだ。それ見てたら、想像もできないだろ? なぁ、君は南雲になにを言われたんだ? 頼むから隠さずに全部話してくれないか?」
きっと、私が黒川さんの立場だったら知りたくてヤキモキしてしまうだろう。
彼にそんな思いをさせたくない。
そう決心すると、ゆっくりと顏をあげて私を見つめている彼と視線を合わせた。
酷い言葉を浴びせられた相手だというのに、どうして庇うようなことをするのか自分にもわからなかった。彼と紗季さんは一緒の事務所で仕事をする仲間だ。
私のせいで険悪な雰囲気になって欲しくない……。
言葉を濁していると、それを察した黒川さんが呆れたように長いため息をついた。
「ちょっと待ってろ」
握っていた手を離し、黒川さんが部屋から出て行くと手に小さなアルバムを持って戻ってきた。
「これを見て見ろ。中央に写ってるのが真由だ」
手渡されたアルバムを開いて指を差された女性に視線を落とす。
この人が、真由さん……?
旅行に行った時の写真のようで、青い海を背後にカメラ目線で白い帽子を被って笑っている。自然な明るい茶色の長い髪が風に靡いて、そのときの楽し気な雰囲気が写真を通して伝わってきた。元々身体が弱いせいもあってか肌は色白で、身体の線も細い。美人で聡明そうな顔は……私とちっとも似ても似つかなかった。
「真由さん、綺麗な人だったんですね……私とは全然似てません」
「その写真を撮った一ヵ月後に亡くなったんだ。それ見てたら、想像もできないだろ? なぁ、君は南雲になにを言われたんだ? 頼むから隠さずに全部話してくれないか?」
きっと、私が黒川さんの立場だったら知りたくてヤキモキしてしまうだろう。
彼にそんな思いをさせたくない。
そう決心すると、ゆっくりと顏をあげて私を見つめている彼と視線を合わせた。