虐げられた悪役王妃は、シナリオ通りを望まない
直後扉が開き、近衛の制服を着た騎士が入って来て、ランセルの前で立ち止まる。
腕の中の国王陛下に驚きを見せながらも、口を閉ざしたままランセル殿下の指示を待っている。
「医師を呼べ。それからお前の部下を何人か集めろ」
「かしこまりました」
騎士は指示に従い、素早く部屋を出て行く。
ランセルは国王陛下の体を抱きか上げ、ベッドに横たえた。
その様子を見守っていた私は、恐る恐る声をかけた。
「ランセル殿下……国王陛下は……」
私の声にランセル殿下が振り向く。その眼差しは険しく、私に対する不信感に溢れていた。
「そこから動くな!」
「え?」
あまりにも威圧的な声音だった。
お茶会の件で文句を言いに来た時は、私への苛立ちを表しながらも最低限の礼儀はあった。
けれど今はまるで罪人のように怒鳴りつけられた。
黙る私に、ランセルが言う。
「陛下に何をした?」
私は大きく目を見開いた。まさか、私が国王に害を為したと思っているの?
「私は何もしていないわ!」
慌てて否定するも、ランセルの目から疑いが消えることはない。
「ならばなぜ陛下は倒れた?」
「分からない。私がここに来たときは既に床に倒れていて……」
「嘘を吐くな! 陛下が広間を出てから、間もない。あなた以外に誰が居るというのだ?」
確かに私は国王が広間を出て直ぐに後を追った。その間、誰ともすれ違っていない。
腕の中の国王陛下に驚きを見せながらも、口を閉ざしたままランセル殿下の指示を待っている。
「医師を呼べ。それからお前の部下を何人か集めろ」
「かしこまりました」
騎士は指示に従い、素早く部屋を出て行く。
ランセルは国王陛下の体を抱きか上げ、ベッドに横たえた。
その様子を見守っていた私は、恐る恐る声をかけた。
「ランセル殿下……国王陛下は……」
私の声にランセル殿下が振り向く。その眼差しは険しく、私に対する不信感に溢れていた。
「そこから動くな!」
「え?」
あまりにも威圧的な声音だった。
お茶会の件で文句を言いに来た時は、私への苛立ちを表しながらも最低限の礼儀はあった。
けれど今はまるで罪人のように怒鳴りつけられた。
黙る私に、ランセルが言う。
「陛下に何をした?」
私は大きく目を見開いた。まさか、私が国王に害を為したと思っているの?
「私は何もしていないわ!」
慌てて否定するも、ランセルの目から疑いが消えることはない。
「ならばなぜ陛下は倒れた?」
「分からない。私がここに来たときは既に床に倒れていて……」
「嘘を吐くな! 陛下が広間を出てから、間もない。あなた以外に誰が居るというのだ?」
確かに私は国王が広間を出て直ぐに後を追った。その間、誰ともすれ違っていない。