虐げられた悪役王妃は、シナリオ通りを望まない
「アリーセ様の場合、まずは宰相様の所に連絡が行きます。そこで許可が出ればこちらに話が来るそうです」

宰相が一時窓口? 私はどうにも納得がいかない。

なぜ私への来客を宰相に管理されなくてはならないのだろう。

もし宰相が許可しなかったら私は来客を知らないままということになるんじゃない?

「どうかしましたか?」

黙り込んだ私に、レオナが心配そうに声をかけて来る。

「私への連絡を宰相が止めたら困ると思って」

「そうですね。でもさすがに公爵家の方の面会希望を断るなどないと思いますが」

「お父様ではないわ。ロウ・…お母様の実家バルテル辺境伯家の人から連絡が来るかもしれないと思って」

ロウがわざわざ私を尋ねて来るか分からないけど、来てくれたのなら会って話したい。

「分かりました。アリーセ様への来客は全て知らせるよう、宰相閣下にお伝えしますね」

「ありがとう、お願いね」

それにしても宰相は思ったより権力を握っているようだ。陰が薄い印象だったけそ、実はやり手なのかもしれない。

いろいろと考え事をしている内に時間が過ぎていたようで、メラニーが戻って来た。

表情に疲れが浮かんでいる。怒られたとか、揉めたりしたのかな?

心配になっている中、報告が始まった。

「ご命令通り宰相閣下に伝えてまいりました」

「どうだった?」

「申し訳ありません。やはり国王陛下への目通りは叶わないとの答えでした」
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