虐げられた悪役王妃は、シナリオ通りを望まない
「……そう」

がっかりしたけれど、半ば予想はしていた。これまでずっと放置されているのだ。ちょっと頼んだくらいでは会えなくても不思議はない。

「ですがお茶会については、王妃様のご自由にとの仰せです」

「良かった、ありがとう」

もしかしたら断られるかもしれないと思っていたから、ちょっと拍子抜けした。

「いつ頃開催致しましょうか? 場所なども決めて準備を進めなければなりません」

「そうよね。どこがいいかしら」

「薔薇の庭園はいかがでしょうか? 華やかな雰囲気に演出出来ると思いますし、外で過ごすのが気持ちの良い季節ですから」

薔薇の庭園か……名前の響きは王妃らしくて良さそうな気がする。

「そこにするわ。招待状を送って貰える?」

「かしこまりました。どなたにお送りしましょうか」

「伯爵以上の夫人と令嬢の中から、メラニーが選んで。私の身の回りのことはいいから早速取り掛かってね」

「かしこまりました。ではレオナ、後は頼みますね」

困惑した様子を見せながらも、メラニーは私の依頼通りに動き出した。



お茶会の日程が半月後に決定した。

随分日が開く印象だけれど、準備することも多い為これでも時間が足りないのだそう。

メラニーの作成した招待客のリストを確認していたある日、私に初めての面会希望が入ったとレオナが知らせに来た。

相手はバルテル辺境伯家。ということはロウだ。
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