ノクターンⅡ
21

翌日、樹君達は終業式で 学校がお昼前に終わるからと お姉様から電話が入る。
 

「麻有ちゃん、子供達を連れて ランチに行きましょうよ。」
 
「わあ。絵里加達、大喜びだわ。」

幼稚園もおけいこ事も お休みの2人は 時間を持て余していた。


午前中、近くの公園で遊ばせてお母様達の迎えを待つ。
 

「お祖母ちゃまだ。」

窓から外を眺めていた壮馬が 玄関へ向かう。

私達は、笑顔で外に出る。


近くに住めて 本当に良かったと思いながら。
 


デパートのレストランで 私達は昼間なのに ちょっと贅沢なランチを頂く。
 
「こんな美味しい昼食。パパ達に 申し訳ないわ。」私が恐縮すると、
 
「いいの。内助の功だから。良い仕事ができるのは、私達のおかげ。」とお母様は笑う。
 

「麻有ちゃん、智之さん 評判が良いらしいわよ。思った通りだわ。」お姉様が言う。
 
「本当ですか。良かった。でも、まだ一日目だから。わからないですよね。」

私は 嬉しい反面、不安も少し。
 


「お父さんも言っていたわ。礼儀とか 気配りとか 一流企業で仕込まれているから やっぱり違うって。それに 態度が謙虚だから、好感を持たれるって。」

お母様の言葉に、私はほっとする。
 

「智くんも 昨夜、会社の雰囲気が良いから 気持ち良く働けそう、って言っていて。私も、安心していたんです。」

お母様達の言葉は そのまま お父様達の言葉だから。

褒めてもらえると 本当に嬉しい。


まだ一日しか出社していないし。

本格的に仕事が始まるのは、年明けだけど。

最初に いやな印象を持ってしまうと 払拭するのに時間がかかる。


第一印象は 本能だから とても大切だと思っていたから。
 



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