ノクターンⅡ
その後、今日の事を 智くんは話してくれた。
智くんに仕事を教えてくれる常務の事、智くんが席を置く営業部の事、これから智くんが対応する業務の詳細。
何もわからない私にも 細かく わかりやすく話してくれる。
相槌を打って聞きながら 私の不安は消えていく。
智くんの説明がわかりやすいのは 智くんが 理解している事の証明だから。
「これからは うちの商品の勉強だ。売る物を知らなかったら 売れないからね。」
智くんの前向きな言葉に 私も笑顔になる。
「話してくれてありがとう。聞いているだけで、安心する。」私が言うと、
「こちらこそ。聞いてくれてありがとう。麻有ちゃんに話していると、頭が整理できるんだ。俺も安心できるよ。」
私達は、見つめ合って微笑む。
「智くん、指貸して。」と、人差し指の先を合わせる。
「麻有子パワー、注入。」
ピーと言う私に 声を出して笑ったあと 智くんは 私を激しく抱きよせる。
「麻有ちゃん。愛している。」
毎日、一緒にいて お互いを思いやって。
自分にできる 全てを相手の為に 費やして。
それでも、まだ足りない程の愛が迸る。
抑えても、溢れてしまう愛に戸惑いながら、
私達は、心も体も一つになっていく。