ノクターンⅡ

家に戻ると、子供達は すぐに眠ってしまう。

大人達は リビングでコーヒーを飲みながら おしゃべりを楽しむ。
 

「すごく楽しかったわ。絵里ちゃんのダンスも可愛かったし。」

ハワイに着いてから、母は何を見ても感激していた。
 

「絵里加には、参ったね。あんなに出たがりだとは 思わなかったよ。」

智くんも苦笑する。私も 笑いながら頷いた。
 

「すごく良いと思います。今の子って 自己主張ができない子 多いから。絵里ちゃんだけじゃなくタッ君達もみんな、ちゃんと自分の意見が言えるでしょう。すごい事だよ。」

妹が、真面目に言ってくれる。
 
「紀之達も、智之達も、ちゃんと子育てしているよね。俺よりも、子供達と関わっているし。安心するよ。」

お父様が言ってくれる。
 

「それだけの余裕を、与えて頂いているからよね。」

お姉様が 私の方を見て言う。

「はい。こんな風に海外に来て 世界を肌で感じるとか。余裕がないとできないですよね。」

私は、さっきの太陽の話しを思い出す。
 


「エリートが遺伝するって、こういう事なのよね。」

妹が、ため息交じりに言う。
 

「それなら、麻有ちゃんのエリートは 私の遺伝かしら。」

母が言い、みんな大爆笑で。
 

「やだママ。私、エリートじゃないから。」私が否定すると、
 
「そうだよ。麻有子は俺の遺伝子だから。」

と父の言葉も、フォローにならない。
 

「もう、パパもママも。」私は赤くなる。
 

「麻有ちゃんが可愛いのは、ご両親の遺伝子よね。すごく優秀なのに、全然高ぶらない所も。」

お姉様が言ってくれる。
 

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