ノクターンⅡ
25

翌日は 子供達に付き合って 一日ビーチで過ごす。

波のない広い海、白い砂浜。

海に入ったり、パラソルの下で おしゃべりをしたり。
 

水着に着替えた私を、眩しそうに見て
 
「海の中で、外したらダメだよ。」と智くんは言う。


初めて2人で行った海外。

サイパンの海は、特別な思い出。
 

「キャッ。恥ずかしい。」

私は 顔を赤くして胸を押さえる。

今はもう、ママだから。
 


絵里加も壮馬も 腕に浮き輪をはめて 上手に浮かんでいる。

水を怖がらずに、潜ることもできる。


智くんに手を引かれ バタ足の練習をしたり 背面で浮いてみたり。
 


樹君達には、お兄様がクロールを教えている。

二人とも、上手に泳いでいる。
 

「水泳教室に行かなくても、こうやって泳ぎを覚えられるって すごいよね。」

パラソルの下で、妹が言う。
 
「私達って 子供の頃、海に行ったことなかったよね?」

私は、妹に聞く。
 

「ないない。プールしか行ったことなかった。いくら海無し県でも、ひどいよねえ。」

妹が笑う。
 

「私、智くんとサイパンに行くまで 海に入った事なかったんだよ。」

私が言うと、
 
「それは、お姉ちゃんが特別だよ。私は、大学の頃 友達と行ったよ。」

妹は呆れたように、私を見る。
 

「そうか。私だけか。」

私が しょんぼりすると 妹は笑いながら
 
「でも、最初の海が サイパンって カッコいいから。良かったじゃない。」

と慰めてくれた。



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