ノクターンⅡ

賑やかに海から上がってきた子供達で、話題は途切れる。
 

「美奈ちゃん、トンネル作ろうよ。」

樹君に言われて、妹は笑顔で 立ち上がる。
 
「みんな、上がらないんだよ。冷えちゃうから 少し休憩。」

そう言うお兄様に 智くんは私を見る。瞳が熱い。


『麻有ちゃんも、そうだったよね』

智くんの目は、そう言っていた。

私は、そっと俯く。思い出して照れながら。
 


お父様達と父達は お昼まで海にいて、午後は、別行動。

散歩したり、買い物したり、それも楽しいだろう。


すっかりハワイにかぶれた母が、アロハシャツを買わないように祈ることも 幸せだった。
 

日が傾くまで、たっぷり海で遊び、夕食はステーキハウスで食べる。
 

「僕、美奈ちゃんの隣。」
 
「僕も。」と、子供達に大人気の妹は、
 

「タッ君、どうして20年早く 生まれてくれなかったの。」と嘆いた。
 


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