ノクターンⅡ
私は、キッチンでランチの用意をしながら美咲と話す。
美咲は、カウンターの椅子に腰掛けて 詩帆ちゃんを遊ばせながら 私の手元を覗き込む。
「ねえ。麻有子達って、今もラブラブ?」
美咲は 突然、思いがけない事を聞く。
「やだ、何言っているの。」
私は、照れて笑いながら 俯く。
「その様子じゃ、ラブラブなのね。いいなあ。」
美咲は、寂し気な顔をする。
「どうしたの。美咲は、ラブラブじゃないの?」
私も、真剣に聞く。
「私、詩帆が生まれてから なんか冷めちゃってさ。触れられるのも嫌なの。」
美咲の意外な言葉に、私は驚く。
「えー。そんな事。うちは、みんなが智くんを大好きだから。帰って来ると取り合いになるわ。私も一緒に。」
智くんと私はよく触れ合う。
子供達が眠ると、智くんに肩を抱かれて おしゃべりをする。
触れ合っているうちに お互いが熱くなり 求め合ってしまうことも。
愛を交わして 感じる歓びは 若い頃よりも強く深くなっている。
「そういう夫婦もいるのね。やっぱり麻有子達とは、愛が違うのかな。最近 いつも それでけんかになるの。」
美咲は正直に言う。
「美咲が拒否するって事?」私は聞く。
「そう。まだ詩帆が半分起きているうちに求められたりすると、本当に苛々するわ。少しは、私の事も 考えてよって。」