ノクターンⅡ

私の料理を、“美味しい” と言って食べながら、美咲は言う。
 
「麻有子、料理も上手だよね。こんなに家庭的だと 思わなかったわ。」
 
「実は、私も。専業主婦なんて興味なかったもの。でも、家事って不思議よ。手を抜けば、いくらでも抜けるし。ちゃんとすれば、家族から返ってくるわ。」


私は最近、強くそう思う。

愛する家族だから。

自分から、家族の為に何かをしたいと思うから。
 


でも、それは自分に返ってくる。

家族の健康、子供達の心の成長。


そして、智くんからは、愛と感謝を。
 

「麻有子の話しって、すごく深いわ。相手に押し付けて 自分は 楽をしようと思うから、ズレが生じるのね。私も努力が足りなかったわ。」

独身の頃は いつも美咲の言葉に 救われていた私。

今美咲が 私と話して気分転換になれば とても嬉しい。


結婚生活は、私の方が少し先輩だから。
 

その後、お宅拝見と言う美咲に 家の中を案内する。

広々と余裕のある一戸建てに “いいな” を連発していた美咲が
 

「麻有子、本当にきちんとしているね。私反省したわ。旦那には要求しても、自分は手抜きばかり。何か、少し気持ちを切り替えられそう。」

と言ってくれた。
 
「よかった。少しでも気分転換になって。仕事始まる前に、またお出でよ。」

私も、とても楽しかったから。


訪ねてくれた美咲に感謝の気持ちでいっぱいだった。

 



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