ノクターンⅡ
34

智くんと壮馬が お風呂から出てくる。

ソファでお茶を飲む智くんに 壮馬が寄り添うと、
 

「次は、絵里加の番。」

と言って 絵里加は智くんの膝に乗る。

さっきと同じように 智くんの胸に顔を寄せて。


不満気な壮馬に、
 
「壮君、たまには ママにも抱かせて。」

と言うと、壮馬も笑顔で 私の膝に乗る。
 

「壮君も、絵里ちゃんの練習の間 いっぱい我慢してくれたものね。」

私が壮馬を抱き寄せると 壮馬も私の胸に顔を寄せる。

絵里加と同じ様に。
 


智くんは、絵里加を抱きしめながら 私の方を見る。

私も、智くんに笑顔で頷く。


智くんも私も、子供達に癒されていく。


愛おしさの塊を、胸に抱いて。
 


しばらくして、絵里加が
 
「パパ、ありがとう。」

と言って、お風呂に入ると、壮馬も
 

「パパ、ママ、おやすみなさい。」

と部屋に上がって行った。
 


智くんが大切にしている、スキンシップ。

肌を触れ合うことは、心を安定させてくれるからと。

私達がそうだから。

子供達も、抱きしめて 解放させてあげたい。
 


中途半端な年頃の子供達。


自分を持て余してしまうような成長の時期だから。

親のぬくもりを感じて 守られている安心を 与えてあげたい。


いつか、分かち合える人が できるまでは。
 
 


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