ノクターンⅡ
10

いつもより 少し早く帰ってきた智くんを迎える時 私は 子供達と同じ様に 智くんと抱き合う。


パパとママがふれあう事を 子供達は 自然に受け止めている。

“いってらっしゃい”と“おかえりなさい”に みんなでキスをする事も。
 


智くんは 十分に子供達の相手をして 寝かし付けてくれる。


そして、私がお風呂を上がるタイミングで
 

「はい。」とコーヒーを差し出す。
 
「ありがとう。」私は、智くんの肩にもたれる。

「今日は、麻有ちゃん、甘えん坊だね。」

智くんは、優しく私の頭を抱き寄せる。
 

「深見さんに会ったでしょう。なんだか昔を 思い出しちゃったの。」

私は、甘く智くんを見つめる。
 


「麻有ちゃん 毎日、ママを頑張っているからね。」

智くんは、私の髪を撫でる。
 

「あの頃は 私だけの智くんだったのに。ずっと、私を抱いていてくれたのに。」

私は、甘い声で言う。

「可愛い。今でも 麻有ちゃんが一番だからね。大丈夫だよ。」

智くんは、笑う。
 



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