悪役令嬢って何をすればいいんだっけ~破滅フラグは全力で回避します~
「カーディナル様? ボーっとなされて大丈夫ですか? 寝られないのでしたら私が夢の世界にいざなって差し上げますわ。」

「アゲハさん………」

アゲハさんはたまに私が眠れないと催眠術のような幻術のようなものを私にかける。

私はいつの間にか眠ってしまうのが常だ。

アゲハさんはメイドさんの中でもメイド長と言ってもいい立場の人だ。

そう言えば、執事長はカゲロウさんで庭師の偉い人はヒグラシさん……。

……なんでこの三人だけ和風の名前なんだろ?

忍者みたいな名前だ。

この世界に忍者はいない。

こっちでは忍者は諜報部隊って言ったっけ?

「……アゲハさんは、諜報部隊の人ですか?」

寝ぼけた私が言った言葉で、アゲハさんは目を見開いた。

子供にそんなことを言われると思っていなかったのだろう。

「誰かになにか言われたのですか?」

「いいえ。ただ、ヒグラシさんとカゲロウさんとアゲハさんは諜報部隊の人じゃないかって……思っています」

アゲハさんは困ったような顔をした。

言ってはいけないことだったのだろう。

「秘密を知ったら殺されちゃいますか?」

「それは、あり得ません。死ぬのでしたら私たちのほうですわ。」

私は慌てて言った。

「ごめんなさい‼ さっきのは聞かなかったことにしてください‼ 私は誰にも言いませんわ‼」
アゲハさんはさらに驚いた顔をして言った。

「お嬢様、あなたは私たちの命を救いたいのですか?」

「当たり前ですよね?」

アゲハさんは目に涙を溜めていた。

殺されちゃうかも知れない人に幻術を教えてほしいなんて言えないだろうな。

残念だ。
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