きっとこれは眠れない恋の証明。
倉掛君の口から途切れ途切れに告げられる衝撃の内容に、まるで頭を打たれたように立っていられなくなった。思わずふらついた私を、側にいた京が支えてくれる。
私の支えてくれている京の手の指も、少しだけ震えているように感じる。
そして、少しの間この先を話す事を躊躇うように黙っていた倉掛君が、暫くしてまた口を開いた。
「それで、言われたんです。
次は、芝波桜の番だ…って」
そんな倉掛君の言葉に、一瞬頭が真っ白になった。
隣に立って私を支えてくれている京が、これ以上ないほどに大きく目を見開く。
(次は、私……)
「…宗次郎、それは本当か?」
「こんな事で嘘つきませんよ、砂川さん…」
倉掛さんがそう言って涙で潤んだ目を私に向ける。
「芝波社長。こんなの、言うまでも無い事なんですけど…どうか気をつけてください。
怖くて気が動転していたのと、相手が大きなマスクで顔を覆っていた事もあって、あまり特徴を覚えていない事を許してください…。
多分、30代くらいの男です。ガタイが良くて、身長はすごく高いように感じたから…多分180センチくらいだったと思います。髪型は、フードを被っていてよくわかりませんでした。
あと、声が凄く低かった。掠れているような…ハスキーな声でした」