きっとこれは眠れない恋の証明。


──芝波桜は…撃たない。黒瀬を亡くして、半身をなくしたままこれから一人で生きて…苦しみ続けるんだ…。


ふと、そんな倉掛君の言葉が脳裏にフラッシュバックする。

…半身。

そうだ、京は私の半身だった。

物心ついた時から、ずっと側にいたから、お互いにずっと一緒にいたから、ずっと満たされていてその事に気がつけなかった。

こうやって引き剥がされてようやく、ようやく気がつく。


京、お願い、早く目を覚まして。

半身がなきゃ、生きてはいけない。
 




「……?」



ガタっと扉が開く音がして、人の気配に気がついた。振り向くと、そこには花を抱えた羽水社長が立っていた。


「…羽水社長、こんにちは」


そう言って笑顔をつくる気力もなく挨拶をすると、そんな私を見て羽水社長が目を見張ったのが分かった。


「…芝波さん、ちゃんと食べてる?痩せたように見えるけど」


「…..…。」

< 177 / 233 >

この作品をシェア

pagetop