きっとこれは眠れない恋の証明。


「芝波社長、コーヒーです」

「やったぁ、喉乾いてたの。早瀬ちゃんありがとう」


仕事が一段落つき、芝波社長にコーヒーを出すとそうお礼を言われた。

気付けばいつの頃からか芝波社長の私の呼び方は、早瀬さんから早瀬ちゃんへとチェンジしていた。

芝波社長との距離が縮まったような気がして、そう呼ばれるのは好きだ。

仕事を再開してから、芝波社長は休養中の一ヶ月の間に比べて目に見えて元気になったような気がする。

食事も、最近ではほんとんど完食しているように思う。


「芝波社長、最近少し元気が出てきたみたいで良かったです」

コーヒーに息を吹きかけて一生懸命冷ましている芝波社長にそう言うと、芝波社長は一口コーヒーを口にして小さく微笑んだ。


「仕事をしてる時は、夢中になって…京の事を考えるの、少し休憩出来るからかな。それに今はいつも早瀬ちゃんが側にいてくれるから。羽水社長もよく食事に誘ってくれるし」


「そうですね、芝波社長は一人じゃないですから」

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