いもうと
いもうと
時は、高校の卒業式から2週間後の3月半ばのことであった。

アタシ・沙友里(さゆり・18歳)は4月から広島の女子大に進学するために、新生活の準備を進めていた。

アタシは、今まで暮らしていた高松市円座町の家を出た後は広島市内のマンスリーアパートへ移り住む予定である。

花のキャンパスライフを想像しながら、期待を高めていた。

そしてもうひとつ、アタシの家ではアタシと同居をしている長兄夫婦(34歳と36歳)の挙式披露宴の準備が進んでいた。

ふたりは、仕事上の都合で挙式披露宴を挙げることができなかった。

4月の大型連休の前半の週に挙式披露宴を挙げる予定なので、なにかとあわただしくなっていた。

それとまた同時に、3月25日に兄嫁さんの第1子の出産予定もあるので、出産準備と仕事の引き継ぎなどで何かとバタバタしていた。

アタシの両親も、アタシの新生活の準備や長兄夫婦の挙式披露宴の準備や兄嫁さんの出産の準備などで忙しい。

だから、次兄・たくみ(お兄ちゃん・32歳)はひとりぼっちであった。

アタシが広島へ旅立つ日が刻々と近づいていた。

それと同時に、大好きなたくみお兄ちゃんへの思いが強まっていた。

3月19日頃のことであった。

アタシは市役所に行って、広島へ移る際に必要な転出届を出す手続きを取った。

手続きを終えて家に向かっている時であった。

香東川の緑地公園のベンチでひとりぼっちで座っているたくみお兄ちゃんを見た。

ひとりぼっちでベンチに座っているたくみお兄ちゃんは、アサヒスーパードライの500ミリリットルの缶ビールをのみながら、遠くに見える国道11号線のバイパスと並行して通っている高速道路の風景を見つめていた。

アタシは、たくみお兄ちゃんに声をかけた。

「お兄ちゃん。」
「沙友里。」
「お兄ちゃん、ここにいたのね。」
「ああ。」
「バイトは?」
「休みだよ。」

お兄ちゃんは缶ビールをひとくちのんでから、アタシにこう言うた。

「沙友里とアニキはおめでたいことが続いているからいいな…オレは…家に居場所がないからひとりぼっちだよ…」

たくみお兄ちゃんは、さびしげな声でアタシに言うた後、大きくため息をついた。

「たくみお兄ちゃん…さみしいのね…アタシ…たくみお兄ちゃんに何もしてあげることができない…ごめんね。」
「いいのだよ…お前が選んだ道なのだろ…オレにエンリョすることないよ…花のキャンパスライフをエンジョイしてこいよ…」

たくみお兄ちゃんは、アタシに何もエンリョすることはないと言うた。

けれど、相当ムリガマンをしていると想う。

たくみお兄ちゃんは、高校を卒業した後両親の知人がすすめてくださった私立高校の付属の大学へそのまま進学することが決まっていた。

けれど、たくみお兄ちゃんは『大学受験をせずに進学をする付属の大学に行っても意味がないから…』と断ったバイト生活を選ぶと言うた。

父は『せっかくの話を断るのなら陸上自衛隊に入隊する手続きを取るぞ!!自衛隊へ行ってやられてこい!!』とたくみお兄ちゃんに怒鳴ったので、大ゲンカになった。

たくみお兄ちゃんは、職場と家庭の往復だけの暮らしをしていた。

友人は一人もいない…

もちろん、好きなカノジョもいない…

アタシは、12日後に華のキャンパスライフが始まるので、期待がふくらんでいた。

その一方で、たくみお兄ちゃんをひとりぼっちにさせたくない気持ちが勝っていた。

アタシはこのまま…

たくみお兄ちゃんを置いて、ひとりで広島に行っていいのか…

イヤ…

できない…

できないわ…

アタシは、たくみお兄ちゃんへの思いをさらに高めた。

そして、その日の夜のことであった。

アタシは、深夜1時半頃に家族みんなが寝静まったことを確認したあと、足音を立てずにお兄ちゃんの部屋へ行った。

アタシが広島へ旅立つ日までの間、たくみお兄ちゃんのそばにいてあげたい気持ちがより強くなっていた。

アタシの乳房(むね)の奥でドキドキとした気持ちが高まっていた。

(ドクンドクンドクンドクン…ドクンドクンドクンドクン…)

アタシは、乳房(むね)の奥のドキドキ感を押さえながたくみお兄ちゃんの部屋にそっと入った後、ゆっくりドアを閉めてカギをかけた。

「沙友里。」
「お兄ちゃん。」

たくみお兄ちゃんは、アタシが部屋に入ってきたので、ギュッとアタシの背中を抱きしめた。

「温かいな…沙友里…オレだけの沙友里…温かいな…」

アタシの背中を抱きしめたたくみお兄ちゃんは、アタシの温もりに包まれてそのまま眠った。

3月24日のことであった。

この日から当分の間、家にはアタシとたくみお兄ちゃんだけになった。

長兄夫婦は、兄嫁さんの実家がある徳島に当分滞在することになった。

両親は、引田(香川県東かがわ市)で暮らしているめいの挙式披露宴が近くなったので、準備などのために今週いっぱいは家には帰ってこない。

なので、家にはアタシとお兄ちゃんしかいない。

夕方頃のことであった。

アタシは浴室にいて、温水シャワーを浴びていた。

アタシは、5つの時のことを思い出した。

アタシがたくみお兄ちゃんを好きになったきっかけは、レオマへ行った時だった。

アタシは、そこで迷子になった。

たくみお兄ちゃんが館内放送の呼び出しを聞いて、迷子センターにアタシを迎えに来た。

たくみお兄ちゃんは、泣きじゃくっているアタシをギュッと抱きしめた。

アタシを抱きしめていたたくみお兄ちゃんの優しい表情をが今でも覚えている。

アタシは、その時からお兄ちゃんに恋をしていたと気がついた。

アタシが浴室に入ってから数分後のことであった。

腰に白のバスタオルを巻き付けた姿のたくみお兄ちゃんが、突然浴室に入ってきた。

「沙友里。」
「やだ…お兄ちゃん…」
「おれも…いいかな…」
「やだ…恥ずかしいよ…」

たくみお兄ちゃんは、アタシが恥ずかしがっているのにアタシの背中をギュッと抱きしめた。

「沙友里…抑えきれないよ…沙友里…」

たくみお兄ちゃんは、アタシの背中を抱きしめた後、アタシのうなじにキスをした。

「お兄ちゃん…やだ…やだお兄ちゃん…」
「沙友里…」
「やだ…お兄ちゃん…お兄ちゃん…」
「好きだよ…」
「やだ…恥ずかしいからやめて…お兄ちゃん…」

アタシは抵抗していたが、たくみお兄ちゃんはなおもアタシの背中を力強く押さえつけた。

深夜11時のことであった。

空っぽになりかけの部屋にいるアタシは、鏡を見ながらくしで髪の毛をといでいた。

鏡にうつるアタシの姿は、お風呂場でたくみお兄ちゃんに押さえつけられた時の余韻が残っていた。

ライトブルーのキャミソールとショーツ姿のアタシは、鏡を見つめながらこんなことを思っていた。

アタシが旅立つまで時間がないわ…

今なら…

まだ間に合うわ…

アタシ…

決めたわ…

そしてアタシは、たくみお兄ちゃんにバージンをささげることを決意した。

それから20分後のことであった。

アタシは、たくみお兄ちゃんがいる部屋に行った。

さびしげな表情を浮かべているたくみお兄ちゃんに、今のアタシの気持ちを打ちあけた。

「お兄ちゃん…」
「沙友里…」
「アタシ…お兄ちゃんのこと…」

(ドクンドクン…ドクンドクン…ドクンドクン…ドクンドクン)

アタシの乳房(むね)の奥の鼓動が激しく高鳴っていた。

どうしよう…

言えないよ…

アタシ…

(ドクンドクン…ドクンドクン…)

アタシは、たくみお兄ちゃんに今のアタシの想いを伝えようとしていたが、うまく言えずに苦しんでいた。

たくみお兄ちゃんは、意を決してアタシに今の気持ちを伝えた。

「沙友里…オレ…沙友里のことが好きだよ…沙友里を抱きたい…朝まで…ずっと…」

たくみお兄ちゃんは、アタシに今の気持ちを伝えたあと、アタシを力強くギュッと抱きしめてキスをした。

(ドクンドクン…ドクンドクン…)

アタシの乳房(むね)の鼓動がさらに激しく波打っていた。

ああ…

バーストしそうだわ…

たくみお兄ちゃんは、アタシをベッドに寝かせた後、アタシの身体を抱いた。

「沙友里…」
「お兄ちゃん…やだ…やだ…お兄ちゃん…」

たくみお兄ちゃんは、アタシの右のくびすじにキスをしながら右手でキャミを脱がした。

そして…

たくみお兄ちゃんは、ショーツを脱がして、アタシを生まれたままの姿にして、アタシの身体を力強く押さえつけて、苦しめていた。

「お兄ちゃん…苦しいよ…苦しいよ…」

おとーさん…

おかーさん…

長兄さま…

たくみお兄ちゃんと結ばれて、地獄へおちて行くアタシを許してください…

たくみお兄ちゃんは、アタシをより強い力で苦しめて弱らせた後、アタシのバージンをうばい取った。

【おしまい】
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